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スタッフブログ

今日から完全施行『改正食品衛生法』

2024-06-01
カテゴリ:食材について,季節の話題
廃業者、続出の危機
『いぶりがっこを細かく刻んでマヨネーズと和えると、美味しい和風タルタルソースが出来上がります。揚げ物やサラダによく合います。』
これは2月13日に掲載したブログの冒頭部分です。
しかし残念ながら、今日から一部のいぶりがっこはもう食べられなくなってしまいます。
4月21日のブログにも書いた通り、3年前に食品衛生法が大幅に改正され、漬物製造にも営業許可(営業許可は会社や個人に与えられるものではなく、その営業施設に与えられるものなのでしっかりと法律に合った施設を作らなければ、許可は与えられません)が必要になりました。
3年間の猶予期間がありましたが、それが昨日終了しました。

以下とても長文ですが、興味深い記事が集英社オンラインに昨日掲載されていましたので、転載しておきます。

《おばあちゃんの漬物が絶滅危機》
80代梅農家「今後、梅干しをどう作ればいいのかわからない…」
法改正で相次ぐ高齢農家の嘆き…道の駅でも販売できない受難
集英社オンライン2024年05月31日(金)より転載

より厳格な施設基準を満たした業者にのみ製造を許可する改正食品衛生法が6月から完全実施される。それに伴い、農家の手作り漬物が消滅の危機に立たされている。
今回は、そんな漬物の実情について、「道の駅 八王子滝山」と梅干しの支援活動を行なう「株式会社うめひかり」の山本将志郎氏に話を聞いた。

「農家の高齢化、法改正のダブルパンチで漬物はピンチに」
地場野菜を使い、代々受け継がれてきた製法で作られるその土地独自の漬物は、長らく地元住民をはじめ、観光客からも愛されてきた。なかでも、農家が作る漬物の人気は高く、道の駅や直売所などで販売されていることもしばしばだ。
そんな農家の漬物が今ピンチを迎えている。2021年に改正した食品衛生法により、営業専用の調理場、温度付きの冷蔵庫の設置など漬物製造に関する基準が大幅に厳格化してしまったためだ。経過措置が2024年5月末で終了することを機に、6月以降に漬物を製造する農家は対応を迫られている。
農家の多くは、自宅の作業場やキッチンでの製造がメインとなっているが、設備投資には数百万円かかるともいわれており、農業従事者の高齢化も相まって、泣く泣く漬物の製造をやめざるを得ない農家もなかにはいるという。

 「道の駅 八王子滝山は契約農家2戸が販売中止に…」
都内唯一の道の駅である東京都八王子市の「道の駅 八王子滝山」は、市内で栽培された野菜はもちろん、農家が作った漬物もいくつか販売されている。大根のしょうゆ漬けやナスのごま油漬け、梅干といったように地場野菜を漬け込んだ農家自慢の漬物が立ち並ぶ。
ところが、漬物を卸す農家のなかでしばらく連絡が来ない方が出てきたと副駅長の須田巧さんは話す。
「八王子滝山では、以前まで5戸の農家さんが作った漬物を販売していたのですが、うち2戸が食品衛生法に触れ、販売中止になってしまいました。残り3戸は、法改正前から設備投資を行い、自前の漬物製造所を整えています。ですが、農家全体の高齢化により漬物の販売数は、年々減少傾向にあるというのが現状です。
当駅に野菜を卸す農家さんのなかには、80代以上の方が圧倒的に多い。
そのため廃業を検討する方も少なくなく、仮にあと3~5年で一斉に廃業された場合、農家さん全体の数が30%ぐらい減っていくと思います。
農家さん減少に伴って野菜の生産量が減るにつれて、当然ながら道の駅での漬物の販売数も少なくなる。加えて、今回の法改正が打撃となり、これまでのような漬物のラインナップを維持することは難しくなっていくでしょう」
土地ごとに受け継がれてきたふるさとの味が姿を消していけば、食の多様性は狭まり、我々日本人の食卓のアイデンティティも喪失の機会に見舞われる。まさに今は“漬物クライシス”とでもいうべき状況となっているのだ。

 「設備投資したくてもイメージがまったくわかない」…全国の梅農家から嘆きの声
農家による漬物製造が途絶えつつあり、ふるさとの味が消滅しようとする現在。その流れを阻止するべく立ち上がった、和歌山県みなべ町にある若手梅農家の集団「梅ボーイズ」という団体がある。廃業を考える梅農家の設備投資を支援し、全国の梅産地に梅干しの製造所を作るプロジェクトを進めている。
現在までに愛知県と神奈川県の3カ所で製造所の整備をサポートし、主に水道まわりや壁の修繕などの支援を行っている。
そんな梅ボーイズのもとには、全国の梅農家から嘆きの声が多数寄せられているのだとか。
「みなさん、改正された法律に基づく製造所が完成した後のイメージがわかないと口を揃えておっしゃっていますね。というのも、梅干しの製造は自宅の作業場やキッチンで行なう農家さんが多かったため、改めて製造所を設けたとしても実際の製造方法が想像できないんだそうです。
80代の梅農家さんからも相談を寄せられていまして、『やり方がわからなくてどうしようもない』『今までの方法と違いすぎてまったく見当もつかない』と、やはり新しいやり方に対応できていない印象です。
また保健所の方から現在の製造環境に問題があると指摘を受けても、製造所に適した設備を揃えるにはどうすればよいかまでは教えてくれないことが大半。
梅農家は高齢化が進んでいまして、仮に見積もりができたとしても、年齢を理由にいまさら工事までして今後も続けていく必要がないと思う人も多い」
漬物の種類ごとに規制を設ける必要があると思う
梅ボーイズでは、小規模体制での梅干し製造のノウハウを活かし、通常200万円前後かかる設備投資費用を100万円程度にまで抑えることが可能となっているようだ。
設備投資のノウハウがないうえに農家全体の高齢化といった理由が重なり、このままでは漬物製造は衰退してしまうというが、そもそもの改正内容も問題だと山本氏は語る。
「今回の改正では、漬物の種類ごとに規制を設けていません。本来であれば、塩漬けや浅漬けといった漬物の種類によって、塩分濃度や消費期限は変わってきます。漬物は本来、保存に適した食品ですので、きちんとした塩分濃度さえ守っていれば、食中毒の可能性は低いのですが、その点が考慮されないまま基準が決定してしまい、少々残念ですね。このままだと昔ながらの漬物が姿を消してしまうかもしれません。
梅干しのみならず、漬物は日本の食文化において大切な食品であることは間違いありません。農家さんのなかには、法改正後の具体的な対策がわからない方が多いので、引き続き支援していくのが我々の使命だと考えています」

漬物の将来はどうなっていくのか。農家や支援団体のみならず、ふだん漬物を食べる人も、食べない人も大切な日本の味が消えてしまわないために考えを巡らすべきではないか。問題を漬け置きする事態だけは避けたい。


もちろん自家消費用のお漬物あるいは、飲食店で自家製のお漬物を提供(店内で食べ切りしていただく)するのは、なんの問題もありませんのでそこのところはお間違い無く。
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