暖簾(のれん)
2024-11-28
カテゴリ:わか松からのお知らせ,雑学
注目お知らせ
そば屋には付き物ですね
わか松のお客様の入り口にも掛かっている暖簾。創業より60余年、暖簾を守り続けています。(掛かっている暖簾は、色褪せてくると作り替え作り替えで、何代目かにはなりますが)
暖簾は国家で言えば国旗と同じ性格のものであり、これを丁重に扱い、暖簾のもとで働く人たちは、その暖簾を一層輝きのあるものにする心構えが大切だ、と先人より教えられてまいりました。
どういう縁起かつぎかわからないのですが、その暖簾を裏返しに掛けておられるお店も見かけます。私的には何か妙な感じがして、やはり暖簾はおもて面をご来店いただくお客様に向けて掲げるべき、と思い続けています。
暖簾は関東や東海では『のれん』、関西では『のうれん』というのだそうです。その暖簾の起源を調べてみると、日本で商況が発展し始めた室町時代にさかのぼるそうです。
初期の暖簾は、白地に黒か濃い色でお店の名前を入れていたものが、しばらくすると紺色または黒の地色に白抜きの文字、というものも出てくるようになったそうです。
近頃ではそれぞれのお店の取扱品目やコンセプトに合わせて、淡い黄色、うぐいす色、水色、エンジなどと、さまざまな色合いの暖簾を目にするようになりました。
昔、東京で見かけたある同業のお店の暖簾は、紺色の三河木綿地に、屋号と家紋を白で染め抜きにしたものが間口いっぱいに掛かっていました。そしてそこには昔ながらの「生蕎麦(きそば)」の字も染め抜いてあり、風に揺らぐ姿がとてもカッコ良かったのを今でも覚えています。
ちなにに冒頭に書いた『暖簾を守る』あるいは『暖簾を誇る』という言い回しは、老舗(しにせ)であることの形容であり、もともと「支似世※」と書いたそうです。
先代の遺訓を守り、磨いて育てて信用を落とさぬようにつとめる店、という心意気が込められています。
わか松では春夏が『白地に紺字』、秋冬が『紺地に白抜き文字』と掛けわけております。ですから今は紺暖簾が掛かっております。
※支似世(しにせ)
老舗の語源で、支似(しに)=仕事(なすこと)を似せる(まねる=学ぶ)
なすことを学ぶことによって、仕事を正しく継承し、次の者に代々伝承していっている店を「しにせ」と呼ぶようになった。
『老舗』という漢字はのちに充てられた。