『悩み事』
2024-11-02
カテゴリ:食材について,雑学
チェックこれはウマい
日本酒を扱う飲食店の悩みです
月が替わり、肌寒い日が訪れるようにもなりました。
これから身に沁みる寒さが到来する季節、熱燗が恋しくなるころでもあります。
お客様の中には色々と日本酒のお好みがあって、特定の銘柄しかお召し上がりにならないお方もみえます。また、いろいろな日本酒を楽しみたい、という方も数多くおられます。
お客様から「冷やで甘口のおすすめは何?」「ぬる燗で辛口がいいんだけどどれにしよう?」などとご相談をいただくことが多々あります。私たちがとても迷ってしまうのがこの『甘口』と『辛口』という対になる言葉なのです。
もともと昔から続く日本酒造りは、気候風土や杜氏のこだわりばかりではなく、それぞれの地方、地域の歴史や文化、産物、食習慣などに密接に関わっていますから、味の違いがあって当然なことです。私が日本酒を嗜むようになった頃は一般的に、硬水地域である灘(なだ)の酒は濃醇辛口の『男酒』、反対に軟水地域である伏見の酒は甘口の『女酒』と言われていました。広島に代表される瀬戸内沿岸地域のお酒は甘口が多く、高知や新潟のお酒は辛口が多いと言われていました。
しかし今では、酒造りのコンセプトがあまりにも多様化し、ひと昔前の説が通用しなくなっているのが現実です。現在の酒造技術をもってすれば、日本酒の甘辛・濃淡は自在にコントロールできるのです。
ですから淡麗辛口をお勧めすると『甘いお酒』と認識される方がみえますし、本来なら超辛口のアルコール度数20度を超えるような純米原酒を「これは甘すぎる」とおっしゃる方もみえます。
ですから今、これだけお酒の指向が複雑多岐になってきた時代、お客様のご要望のお酒を選別することは、日本酒ソムリエでない私たちにはとても難しいこととなっているのです。
これからもできる限りお客様のご要望にお応えできるよう、ますます研鑽してまいります。
わか松では「月替わりの日本酒」に限ってですが、テイスティング(利き酒)ができますのでお迷いの節はご遠慮なくお試しくださいませ。