■知って得する「そば」の話
そば湯は、なぜ飲んだほうがよいのか
 そばが栄養バランスの優れた食品であることは周知の通りですが、そば湯には、その栄養成分がたくさん溶け込んでいます。現代栄養学を知らなかった昔の人が、そばを食べた後でそば湯を忘れずに飲むことをすすめたのは、そば湯が栄養に富んでいることを経験的に知っていたからといえます。
 そばに含まれる栄養成分のうち、米や小麦などの他の穀類と比較して特徴的なものは、ビタミン類とたんぱく質の組成です。
 このうち、ビタミン類から見てみると、そばにはAとCはほとんど存在しません。しかし、B1およびB2は多く含まれ、その量は米や小麦の約二倍にもなります。B1については、そばがきなど100%そば粉の状態で食べた場合、わずか100gで成人1日当たりの必要量の40%近くをまかなえるとされるほどです。さらに、かつてはビタミンPと呼ばれ、毛細血管を強くして脳出血や出血性の諸病に対して予防効果があるとされて話題にもなったルチンが、豊富に含まれています。
 これらのビタミンB類やルチンは水溶性のため、茹でている間にどんどん茹で湯のの中に溶け出してしまいます。そば湯はその茹で湯ですから、これらビタミン類の貴重な補給源でもあるわけです。
 また、 そばのたんぱく質は、その半分程度が水溶性ですから、これもそば湯の中に豊富に含まれています。このたんぱく質は、そばの旨み成分でもあるので、栄養の面ばかりでなく、そばを余すところなく味わうにも、そば湯を飲んだほうがよいということになります。ちなみに、そばの辛汁(つけ汁)は、そば湯でのばした時に吸い物のようにおいしく飲めるようでなければいけない、という教訓が古くからあります。
 そばを食べた後にそば湯を飲む風習は、まず信州で始まり、それが江戸に広まったとされています。年代は明らかではありませんが、元禄以降と推定されており、もともとはそば湯ではなく"ぬき湯"と呼ばれていたといわれます。元禄十年(1697)刊といわれる「本朝食鑑」は早くもそば湯を取り上げ、そばを食べた後にこの湯を飲まないと必ず病にかかる、とも解釈される内容のことを書いています。
 なお、そば湯を入れる湯桶は口が正面に付いてないで横のほうに長く突き出ていますが、ここから、人が話をしている最中に横から口出しをするのを「そば屋の湯桶」というようになりました。
 
そば 植物分類学上、タデ科のソバ属。
他の食用穀物の多くは、イネ科やマメ科に属する。
     
栄養 <でんぷんが主体>
    たんぱく質の栄養価を表わす目安(たんぱく価)
 ・白米 72
 ・小麦粉 47
 ・そば粉 76 (植物性たんぱく質の中でも非常に良質なもの)
     
    <必須アミノ酸>
    小麦粉に特に不足しているリジン、白米に含量の少ないトリプトファンに富んでいる。
     
    <ビタミン>
    日本人に不足しがちなビタミンB1、B2が多く含まれる(米や小麦の2倍)
     
    <ルチン(ビタミンP)>
    毛細血管の働きを安定、強化させ、脳出血や出血性の病気に予防効果がある。
また、ルチンはビタミンCと同時に摂ると効果が強められるので、そばと一緒にビタミンCの豊富な野菜や果物を食べるようにすると良い。
     
  最近特にその重要性が注目されている食物繊維含有率約5%と高く、白米の2.5倍。便秘予防や毒性制御などに効果がある。
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